大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 平成2年(オ)1456号 判決 1994年4月21日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人水上学の上告理由について

当事者が民法四二〇条一項により損害賠償額を予定した場合においても、債務不履行に関し債権者に過失があつたときは、特段の事情のない限り、裁判所は、損害賠償の責任及びその金額を定めるにつき、これを斟酌すべきものと解するのが相当であるところ、原審の適法に確定した事実関係の下においては、損害賠償額の予定としての本件工事遅滞損害金につき上告人側の過失を考慮してその三割を減額すべきものとした原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

その余の所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難し、原判決の結論に影響しない事項についての違法を主張するか、又は原判決を正解しないでこれを論難するものにすぎず、採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 三好 達 裁判官 大堀誠一 裁判官 小野幹雄 裁判官 大白 勝 裁判官 高橋久子)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例